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お母さんの声から生まれました
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ストーリー

おうち型収納ボックス  お片付けごっこ


「なんで片付けられないの!」
また大きな声で叱ってしまったという自己嫌悪が私を包み込む。どうして優しく言えないのだろう。こんな言い方をしたって少しも前進しないことはわかっているのに。真奈美が泣きながらごめんなさいを繰り返す。違う謝らなければいけないのは私。どうすればいいお母さんになれるのだろう。

普段の真奈美はよく出来た娘だと思っている。仕事で遅くなる日が多く、保育所へのお迎えが遅くなってもちゃんと待っててくれるし、保育所に行きたくないと駄々をこねることもない。基本的には手がかからない子なのに、ときどきおもちゃを部屋いっぱいに広げてしまう。


私の調子がいい日は「一緒に片付けようね」と優しく言えるけど、仕事でストレスが溜まっているときは瞬間湯沸器のように怒りが爆発してしまう。片付けをしなければいけないことは真奈美もわかっているから「ごめんなさい」と泣いて謝ってくる。その姿が私をさらに追い込んでいく。

寂しい思いをさせているという思いもあって、欲しがるものは何でも買ってあげた。食事だって栄養に気をつけて嫌いなものでも美味しく食べられるような工夫をしてあげている。私の人生はすべて真奈美のためにあると断言してもいい。遅くまで働いているのも真奈美との暮らしを少しでも良くしたいから。お金がないことで真奈美につらい思いをさせたくないから。


なのに真奈美がおもちゃを手にするだけで反応してしまう私がいる。もっと自由に遊ばせてあげたいのにいちいち監視してしまう。部屋いっぱいに広げられたおもちゃに感情を奪われないようにするために。

家で怒鳴ってしまった翌日はだいたい仕事もうまくいかない。部下の悪いところばかりが目に止まってしまう。いつもは気にならない小さなことにもイラッとするし、あえて言わなくていいことまでも指摘してしまう。若手にはのびのび仕事をしてもらうのがいいとわかっていながら強く叱って萎縮させている。


そんな職場で唯一自然体で向き合える部下がいる。相川は私がいくら叱ってもヘコタレないどころか、叱られたことがなかったかのように仕事に戻る。私の仕事でのミスをイジってくるのも相川だけだ。たぶん私のことを上司だとは思っていない。その証拠に相川は私のことを「かおりさん」と呼ぶ。何度も直させようとしがもちろん直す気なんてまったくないらしい。

今日も「かおりさん、部下にあれこれ言う前に自分のデスクもっときれいにした方がいいよ。仕事ができる人はデスクが片付いているって雑誌に書いてありましたから」なんて言ってきた。「おいおいあんたの席はどうなのよ」と言おうと相川の席を見たら、いつも山積みだった資料がきれいに片付いている。ムカつく。

「全部進行中の仕事なのよ。あなたと違って私は忙しいの」と言い返したものの、相川のこなす仕事量は私とそう変わらない。
「かおりさんって旅行にいくとき持てないぐらい大きなカバンを持っていくでしょ」
「悪い?女は男よりもあれこれ必要なの」
「でもあれこれ詰め込んで、結局自分で持てなくなっている。そんな感じですよ、今のかおりさん」


持てないぐらい詰め込みすぎてる?私が?そう思った瞬間に目の前がパッと明るくなった。そうか、そういうことか。
「ありがとう相川。今度美味しい物おごるから後は任せた!」
そう言うのと同時に私は席を立ち保育所に向かった。

まだ日の高いうちに真奈美と手をつないで歩いて帰るなんていつぶりだろう。
「ママね、なんで真奈美がお片づけを上手にできないのかわかったの」
真奈美が不安そうな顔をして私の顔を見上げてくる。
「ママがたくさんのおもちゃを真奈美にあげてしまったから、真奈美が片付けられないぐらいいっぱいあげてしまったから、真奈美はどうしていいかわからなくなってるんだよね」
真奈美の手の力が少しだけ強くなるを感じる。
「だから真奈美が困らないだけのおもちゃに減らしていいかな?」
返事はないけど、ちゃんと聞いているよというメッセージは握った手から伝わってくる。


「そのかわりね、真奈美のおもちゃのための家を3つ買ってあげる」
そう言ってダンボールでできた小さな家の形をした収納ボックスの画像を真奈美に見せた。
「じゃあね、ママもちゃんとお部屋のお片付けしてくれるならいいよ」
そう言ってくれた真奈美を思わず強く抱きしめてしまった。ごめんねとありがとうの気持ちを込めて。ちゃんと見られてるんだな。
「あたり前でしょ。ママに出来ないことなんてないんだから」
そう強がって私は真奈美のおもちゃのための小さなお家をその場で注文した。
上手くできる自信はないけど真奈美と一緒に組み立ててみよう。真奈美と一緒なら私に出来ないことなんてないんだから。

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